甲賀三郎・小説感想リスト 大正十三年

琥珀のパイプ

三つの事件が美事なまでに複雑怪奇に混ざり合ってるのを松本名探偵が解き明かす。この本格ミステリも甲賀三郎の化学知識を生かしつつ、暗号も登場し、全く最後の驚くべき真相、この演出は心憎いばかりではないか、あまりにネタばれになるから伏せておくが、例の探偵小説では有名な目くらましトリックに出くわすとは思いもよらなかった次第である。主人公が琥珀のパイプを見るたびに、冒頭文の通りにゾッとせざるをえないのもよくわかるというものだ。
今もって、甲賀三郎の代表的作品の第一級に挙げられるとともに、理化学的トリックも冴え渡る甲賀三郎の出世作。
私的相対評価=☆☆☆☆☆