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笑話倶楽部
 ――創作――

甲賀三郎
  

  ∴なほ悪い
 電車の中にて女、「し、失礼なっ、何故[なぜ]あなたは私の手を握るのですかっ!」
 傍に立っていた男、「御免なさい。手でしたか。私は又財布かと思ったんで――」

  ∴落第
 泥棒養成所生徒、「腕力でその風呂敷包を奪[と]る事は訳なかったんですが、私は旨く誑[だま]して取り替えようとして、子供に五拾銭銀貨をやりました。」
 実地教官「うむ、それは旨い考えだ、それから――」
 生徒「そうしたら、小供は銀貨を握って駆け出して了[しま]ったんです。」

  ∴暇つぶし
 検事「二人しか嫌疑者がなくて、その中の一人の現場不在證明[アリバイ]を認めるなら、他の一人が犯人に極[きま]っているじゃないか。」
 探偵「所が、その、そうは行かないのです。」
 検事「何故?」
 探偵「もう一人の方にもアリバイがあるのです。」

  ∴何にもならない
 あわて者夢中で自転車を走らせながら、「泥棒! 泥棒!」
 前から来た人「泥棒はどいつだっ!」
 あわて者「あっ! しまった、追越しちゃった!」

  ∴尤も千萬
 裁判官「お前は何故他人の土地を自分のものとし、それを売払ったか。」
 被告「つまり、その、私は土地よりも金の方が欲しかったのでございます。はい。」


(備考―管理人・アイナット編)≪新字体に変換≫
特になし。